ついに現れた覚醒ラデル(前編)

ラデル…ムー大陸全滅エンド時の俺(つまりトウキ)の幼馴染であり、一番の相棒です。
王宮の使いというかアイドルであったラデルはとても美しく、エメラルドっぽい翼の触感はシルクのようであり、オッドアイの澄んだ瞳に見つめられるとどんな悩みも吹き飛んでしまいそうな素敵な輝きを秘めていました。
↓は過去生を絵に書いてくれる画家さんに書いてもらったラデルの絵です。
少し憂いを帯びたような瞳は、まさに私の記憶の中のラデルそのもの。
というのも、ラデルのような羽が生えた天使のような種族(俺はフェザーフォルクって呼んでます)は、実は王宮で働く公務員のような存在です。
儀式を執り行ったり、世界各国に使いとして派遣されたり。
翼はあれど、自由はないのです。
自分の意志で行動することも基本認められていない感じです。
しかも人造人間なので、魂データもそんなに大きな物が入りません。
(実際この種族が今生転生しても、人間的にあまり深みがない人が多いです。
ご存じの方はシズェルとかイメージしていただくとわかりやすいかな。)
ただ、ラデルだけは別物でした。
当時のレムリアの技術の集大成で作られた、まさに最強の天使。
データ容量もたくさんあるので、普通に大容量の魂でも宿せる身体でした。
でも、それ故に苦しかったようですね。
自分が納得していない命令でもこなさねばならず、自分の想いを伝える事もままなりません。
(彼の身体には命令に背くと電気ショックのようなものが流れるプログラムがされていました。)
何も考えずロボットのように任務をこなすほうが、幸せだったかもしれません。
トウキ(私のこと)はそんなラデルを見て、もどかしく思っていました。
でもある日、喧嘩になってトウキがラデルを深海にひきづり込みます。
(トウキは海に潜るのが得意&高所恐怖症)
ラデルは海に潜れるように作られていないので瀕死の状態になってしまうのですが、そこから復活した際に例の「命令違反すると電撃が走るプログラム」が壊れたのです。
以降、本音で語れるようになりました。
王族に悟られるとまた手術されてその機能が復活してしまうので、表向きは平静を装っていましたが。
そんなラデルとの思い出は枚挙に暇がないのですが、今生私はなかなか純度の高いラデルに会えませんでした。
純度が低いラデルは、何人か会いました。
ですが、まさに公務員っぽいラデルばかりで、そのたびに私は失望します。
(付き合いが長かったラデルは、怪しい宗教にハマッてしまい言動がおかしくなりました。)
まあそれは俺の波動がまだ低かった(執着が強かった)のも原因ですね。
いつ覚醒したラデルに会えるのかな、と私はずっと心待ちにしていました。
夢の中でラデルに会った時、文句を言った事もあります。
「おまえだけいつまで焦らすのだ。早く来い」と。
夢の中でラデルは言っていました。
「焦らなくてももう会える世界線に入っている」と、満面のアイドルスマイルで。
(後編に続きます)